FDM方式の3Dプリンターとは?導入する3つのメリットと注意点【失敗しない選び方】済
「FDM方式の3Dプリンターって何?」「導入後のコストやメンテナンスってどれくらい?」「種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事ではFDM方式の特徴や選び方をわかりやすく解説します。
FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンターは、操作がシンプルで扱いやすく、初心者からプロまで幅広いユーザーに選ばれている造形方式です。材料の選択肢も豊富で、調整次第で安定した造形が可能なのも大きな魅力です。
この記事では、FDM方式の3Dプリンターの基本から、メリット・デメリット、機種選定のポイントまでを網羅的に紹介します。造形サイズや予算だけでなく、対応材料や販売店のサポート体制など、導入前に確認しておくべきポイントを丁寧に解説します。
FDM方式の3Dプリンターに関する基礎知識

FDM方式の3Dプリンターは初心者にも扱いやすく、自分のアイデアを手軽に形にする道具として人気です。自分に合った機種を選ぶためには、FDM方式の仕組みや他の3Dプリンターとの違いを理解しましょう。
FDM方式とは
FDM(熱溶解積層方式 Fused Deposition Modeling)とは、熱で溶かした材料を積み重ねて作品を作る3Dプリンターの代表的な方式です。FDM方式の材料には糸巻きのような形をした「フィラメント」と呼ばれるプラスチックを使います。
フィラメントをFDM方式の3Dプリンターの中で高温にして溶かし、細いノズルから押し出して設計図どおりに一層ずつ積み重ねます。積み重ねられたフィラメントが冷えて固まることで、手で触れる作品が完成します。FDM方式は、家庭向けの3Dプリンターでよく見かける方式の一つです。
» J-Stage「3Dプリンタユーザからみた材料への要求」(外部サイト)
FDM方式と他の3Dプリンター方式の違い
FDM方式の3Dプリンターが他の方式と違う点として、以下が挙げられます。
- 造形の仕組み
- 使う材料
- 得意なこと
- コスト
- 造形後の手間
FDM方式は表面に線の模様(積層痕)が残りやすいですが、光造形方式なら滑らかな表面の造形が可能です。FDM方式が糸のようなプラスチック材料(フィラメント状の熱可塑性樹脂)を使用するのに対し、粉末焼結方式は粉の材料を使用します。
FDM方式で使用する汎用フィラメントは、光造形方式や粉末焼結方式に用いられる材料と比べ、価格が抑えられていることが多いです。FDM方式や光造形方式では「サポート」と呼ばれる支えが必要で、完成後に手で取り除く作業が発生します。
粉末焼結方式の場合は固まらなかった周りの粉が支えの役割を果たすため、専用のサポート構造は不要です。しかし、粉末焼結方式は造形後に未焼結の粉末を除去する作業が必要です。
FDM方式の3Dプリンターのメリット3選

FDM方式の3Dプリンターには以下のメリットがあります。
- 材料等が安く低コストで運用できる
- 目的に合わせて多様な造形材料が使える
- 構造がシンプルでメンテナンスがしやすい
材料等が安く低コストで運用できる
FDM方式の3Dプリンターは、他の方式の3Dプリンターと比べて本体価格が安いモデルが多く販売されています。FDM方式の3Dプリンターは、使う材料の値段や部品代、電気代などの費用も抑えやすい傾向にあります。無料で使える設計ソフトや解説も多いため、FDM方式の3Dプリンターは出費を抑えながら知識や技術を身に付けることが可能です。
FDM方式の3Dプリンターは初期費用に加え、ランニングコストも抑えられます。
目的に合わせて多様な造形材料が使える

FDM方式の3Dプリンターで使える材料の種類は、以下のとおりです。
- PLA、ABS、PETG、ASA
- ナイロン、ポリカーボネート(PC)
- TPU(熱可塑性ポリウレタン)
- カーボンファイバー混入材料
試作品作りから実際に使う部品、趣味の作品まで、FDM方式の3Dプリンターは幅広い目的に合わせて材料を選べます。
» 情報処理学会「熱溶解積層方式3Dプリンタを用いた表現と 造形手法のデザインのためのパラメータ探索手法 」(外部サイト)
構造がシンプルでメンテナンスがしやすい
FDM方式の3Dプリンターは装置の構造が比較的シンプルなため、メンテナンスがしやすい特徴があります。使っているうちに消耗する主要な部品も、FDM方式の3Dプリンターはユーザー自身で交換できるよう設計されています。
トラブルの解決方法やメンテナンスに関する情報も、インターネットで見つけやすい点がFDM方式の特徴です。
FDM方式の3Dプリンターのデメリット4選

FDM方式は人気のある3Dプリンターですが、以下のデメリットがあります。
- 材料を熱で溶かすため表面に積層跡が残る
- 冷却時に縮むことで反りや収縮のリスクがある
- 材料を積み重ねる厚みにより造形物の精度に限界がある
- 材料を熱で溶かすためノズル詰まりなどのト痕
表面をなめらかに仕上げたい場合には、FDM方式で3Dプリント後にやすりで磨いたり色を塗ったりする追加の作業が必要です。FDM方式の3Dプリンターでは1層ごとの厚みを薄く設定することで、積層跡をある程度減らせます。
冷却時に縮むことで反りや縮みのリスクがある

FDM方式の3Dプリンターで作ったものが反り返ったり形が変わったりするのは、冷却時の縮みが原因です。場所によって冷える速さが違うと、FDM方式の造形物の縮み方も一定ではなくなります。熱を加えると大きく縮む性質の材料を使う場合、FDM方式の3Dプリンターでは反りや縮みがより起きやすくなります。
FDM方式では、造形中に発生する収縮の力で、モデルが造形プレートから剥がれてしまうことがあるため注意が必要です。FDM方式の造形物が完成後に想定どおりの大きさにならないリスクもあります。
材料を積み重ねる厚みにより造形物の精度に限界がある
FDM方式では材料を層ごとに積み上げるため、造形精度はレイヤーの厚みに依存します。層が厚いと造形スピードは速くなりますが、表面が荒くなり、細部の再現性が落ちます。
また、熱収縮の影響で寸法精度にも限界があり、大型造形では特に誤差が生じやすくなります。複雑な形状ではサポート材が必要になるため、形状の自由度にも一定の制約があります。
こうした課題には、材料の選定やスライスソフトでの補正設定、加熱チャンバーの使用などで対応が可能です。
材料を熱で溶かすためノズル詰まりなどのトラブルが起こりやすい
FDM方式では、材料を加熱してノズルから押し出す構造上、ノズル詰まりなどのトラブルが発生しやすい傾向があります。主な原因としては、フィラメント内の異物混入、吸湿による劣化、直径の不均一などが挙げられます。
また、ノズルと造形台の距離が近すぎると、材料がスムーズに押し出されず、逆流して詰まりを引き起こすこともあります。こうしたトラブルを防ぐには、定期的なメンテナンスや適切な造形設定が重要です。
FDM方式の3Dプリンターの失敗しない選び方

FDM方式の3Dプリンターを選ぶ際は、以下のような観点から比較・検討するとよいでしょう。
- 3Dプリンターで作りたい作品の造形サイズで選ぶ
- 3Dプリンターの対応する材料で選ぶ
- 3Dプリンターにかけられる予算に応じて選ぶ
- 3Dプリンター購入後のサポートや保証内容で選ぶ
3Dプリンターで作りたい作品の造形サイズで選ぶ
FDM方式の3Dプリンターを選ぶ際は必要な造形サイズを把握し、対応した機種を選びましょう。必要な造形サイズに対してプリンターが小さすぎると、目的の造形物が一度に出力できず、分割や再設計が必要になることがあります。一方で、必要以上に大きなFDM方式の3Dプリンターを選ぶと、広い設置スペースが必要になります。
手のひらサイズの試作品や小さなアクセサリーなどは、コンパクトな小型のFDM方式の3Dプリンターが適しています。大きな部品や複数の小さなパーツを効率よく作りたい場合は、造形プレートが広いFDM方式の3Dプリンターを検討してください。
3Dプリンターの対応する材料で選ぶ
FDM方式の3Dプリンターの材料は種類によって硬さや柔らかさ、熱への強さ、扱いやすさが異なります。材料の特性と造形対象が合っていないと、十分な強度や仕上がりが得られない可能性があります。
材料の特性をよく理解して、作りたいものに適した材料に対応するFDM方式の3Dプリンターを選びましょう。
3Dプリンターにかけられる予算に応じて選ぶ

FDM方式の3Dプリンターについて、価格帯別の特徴を以下にまとめました。
| 5万円未満のモデル | 安く3Dプリンターを始めてみたい方に向いています。自分で組み立てるキットタイプや小さなものしか作れない機種が中心です。使うには少し知識や工夫が求められます。 |
| 5〜15万円のモデル | 趣味で使いたい方や初めて3Dプリンターに挑戦する方におすすめの価格帯です。基本的な機能は十分に備わっており、簡単な試作品などを作るのにも適しています。 |
| 15〜50万円のモデル | より本格的なものづくりを目指す個人の方や小さな会社で仕事に使う場合に良い選択肢です。きれいで丈夫なものが作れ、操作も便利になる機種が多くあります。 |
| 50万円以上のモデル | 大きなものを作りたい場合や特殊な材料を使いたい場合、仕事や研究で高い精度・速さが求められる場合に最適です。 |
- FDM方式の3Dプリンター本体の価格だけでなく、使用する材料や定期的に交換が必要な部品にもコストがかかる点を考慮しましょう。
3Dプリンター購入後のサポートや保証内容で選ぶ
FDM方式の3Dプリンターを購入する前に確認したいポイントは、以下のとおりです。
- 保証期間・範囲
- 修理連絡方法・場所
- 修理期間・代替機
- 問い合わせ受付時間・方法
- 海外製品における日本語サポートの有無
- 初期設定・導入支援
- オンラインマニュアルやFAQの充実度
- ユーザーコミュニティの活発さ
- 消耗品・部品の入手性
- 保証期間後のサポート・保守契約
購入後も安心して運用できるよう、サポート体制や保証内容を事前に確認しておくことが大切です。
FDM方式の3Dプリンターを使う際の注意点

FDM方式の3Dプリンターを安全かつ効果的に使用するには、以下の点に注意が必要です。
- 置き場所に注意する
- 定期的にメンテナンスを行う
3Dプリンターの置き場所に注意する
FDM方式の3Dプリンターを不適切な場所に設置すると、造形品質の低下や本体の故障を招く恐れがあります。場合によっては、火災やけがといった重大な事故につながることもあります。
安全で安定した造形環境を整えるために、プリンターは平らで頑丈な場所に設置し、直射日光・高湿度・激しい温度変化のある場所は避けましょう。また、周囲に材料交換や清掃のための作業スペースも確保しておくことが重要です。
さらに、ほこりの少ない清潔な場所に設置することで、トラブルの防止につながります。設置台や棚が本体と材料の重さに耐えられるかも事前に確認しておきましょう。
3Dプリンターのメンテナンスを定期的に行う
快適に長く使うためには、以下の点を定期的に点検・清掃しましょう。
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ノズル(材料の出口):詰まり防止の清掃、必要に応じて交換
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エクストルーダーギア(送り歯車):削りカスの除去、摩耗の確認
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プリントベッド:水平調整、表面の清掃
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X/Y/Z軸の可動部:清掃と注油
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駆動ベルト:テンション調整、摩耗・劣化のチェック
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冷却ファン:ほこりの除去、異音・動作確認
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各部のネジ:緩みの点検と増し締め
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フィラメントチューブ:内部の清掃と摩耗確認
定期的なメンテナンスを行うことで、プリンターの性能を維持し、トラブルを未然に防ぐことができます。
FDM方式の3Dプリンターに関するよくある質問

FDM方式の3Dプリンター導入にあたり、多くの方が抱えている以下の疑問に回答します。
- FDM方式で造形できる最大サイズは?
- FDM方式のランニングコストは?
FDM方式で造形できる最大サイズは?
FDM方式の3Dプリンターで造形できる最大サイズは、使用するプリンターの機種によって異なります。家庭用のコンパクトなものから業務用の大きなものまで、FDM方式の3Dプリンターにはさまざまな種類が存在するからです。
一般的なデスクトップ型では、一辺が20〜30cm程度の造形サイズが主流です。40cmを超える造形サイズに対応したモデルも一部存在します。
大きな模型や部品をFDM方式の3Dプリンターで作る場合は、1辺が50cmを超える大型デスクトップ機種や業務用大型機種を選択する必要があります。導入前には、製品の仕様書に記載された「最大造形サイズ」や「ビルドボリューム」を必ず確認しましょう。
FDM方式のランニングコストは?
FDM方式の3Dプリンターを運用するうえでかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 材料代
- 電気代
- 交換部品代
- メンテナンス用品代
FDM方式の3Dプリンターの造形に使う「フィラメント」という材料は、1kg当たり2,000円〜数万円程度と価格に幅があります。作るものの大きさや使う量によって、材料費が変動します。
FDM方式の3Dプリンターの電気代は機種や使用状況により異なります。待機時は1時間当たり約0.3円~9円、印刷時は最大39円程度を見込んでおきましょう。ノズル、プリントベッドシート、フィルターなどの消耗品は、使用頻度によって数か月〜1年程度での交換が必要になることがあります。
プリンターの状態を保つために、専用の清掃用具や潤滑剤などを別途用意する必要がある場合もあります。
FDM方式の3Dプリンターはコスト・扱いやすさ重視の人に人気です!

FDM方式の3Dプリンターは、趣味のものづくりから業務用の試作品製作まで、幅広い用途で活用されています。選ばれる理由のひとつは、比較的低コストで導入でき、さまざまな材料を使って造形できることです。また、他の方式と比べて構造がシンプルで、メンテナンスも比較的容易です。
一方で、材料を積み重ねる方式のため、造形物の表面に積層痕が残りやすく、熱による反りや収縮が起きることもあります。細部の再現性には限界があり、ノズルの詰まりといったトラブルも発生することがあります。
造形サイズや予算、使用目的に合わせて、最適な機種を選ぶことが重要です。