3Dプリンターのよくある失敗7選と対策法4選|反りや糸引きまで徹底カバー
3Dプリンターを利用したくても、失敗を恐れて導入に踏み切れない人は少なくありません。この記事では3Dプリンターでよくある失敗例や失敗の原因、光造形3Dプリンター特有の問題と対策方法などを解説します。記事を読めば3Dプリンターでよくある失敗を把握し、未然に防ぐことが可能です。
3Dプリンターでは造形物の剥がれや反り返り、レイヤーのずれなどの失敗が起こります。失敗を防ぐためにはスライサーソフトや3Dプリンターの設定を見直し、材料を適切に保管する必要があります。
3Dプリンターのよくある失敗と原因

3Dプリンターでよくある失敗は、以下のとおりです。
- 造形物の剥がれや反り返り
- レイヤーのずれや分離
- ノズルの詰まり
- フィラメントの過剰押し出し
- 底部の膨らみ(エレファントフット)
- 糸引き
- プリントの停止・空回り
3Dプリンターの失敗は印刷設定の誤りや材料の取扱いミス、プリンター本体の問題などのさまざまな原因で起こります。
造形物の剥がれや反り返り
3Dプリンターを使うと造形物が途中でベッドから剥がれたり、端が反り返ったりする場合があります。造形物の剥がれや反り返りが起こる原因は、以下のとおりです。
- ベッドと作り始めの層が密着していない
- ベッドの表面に手の油やホコリが付いている
- ベッドが傾いている
- ノズルとベッドの間の隙間が広い
- 冷えると縮みやすいABSなどの材料を使っている
- 印刷している部屋の温度が低い
- 3Dプリンターにエアコンの風が直接当たっている
- 冷却ファンの風量が強すぎる
- 最初の層を印刷する速度が速すぎる
» 提供元「NIST(米国国立標準技術研究所)」(外部サイト)
造形物の仕上がりに影響を与える要因は、3Dプリンターのベッドの状態や部屋の温度です。造形物が冷えて固まると、材料が縮んで造形物の剥がれや反り返りなどの失敗が起こりやすくなります。
レイヤーのずれや分離
3Dプリンターで積み重ねたレイヤーが横にずれたり分離したりする失敗は、以下の原因で起こります。
- ベルトやプーリーのネジが緩んでいる
- フレームに緩みやがたつきがある
- Z軸ロッドが汚れたり、曲がったりしている
- モーターの力が弱い
- 印刷速度が速すぎる
- ノズルが造形物に衝突している
- フィラメントなどの材料が足りない
- 印刷している部屋の温度が低い
- 冷却ファンの風量が強すぎる
- 外部からの振動や衝撃が大きい
» 提供元「NIST(米国国立標準技術研究所)」(外部サイト)
3Dプリンターのベルトの張り具合を調整したりネジを締め直したりすると、レイヤーのずれや分離などの失敗を防止できます。
ノズルの詰まり
ノズルの詰まりは、フィラメントの劣化や樹脂の炭化、異物の混入などが原因で発生します。3Dプリンターの印刷速度が速すぎる場合も、ノズルが詰まる可能性があります。フィラメントの供給が追いつかず、押し出し不足やノズル内での材料の蓄積が起こるためです。
ノズルの詰まりを防ぐために、フィラメントの乾燥状態の維持やノズルの定期的な清掃、適切な印刷速度を設定しましょう。
フィラメントの過剰押し出し
3Dプリンターでフィラメントが過剰に押し出されると、造形物の表面に余分な材料が付着し、きれいな造形ができません。寸法の誤りやにじみ、材料のダマなどの問題を引き起こし、造形物の細かいデザインや模様が潰れてしまうため注意が必要です。
材料の量や太さの設定が合っているか、3Dプリンターの印刷データを作る「スライサーソフト」で確認しましょう。
底部の膨らみ(エレファントフット)
3Dプリンターで印刷した際、最初の数層が設計した大きさよりも横に広がる失敗を「エレファントフット」と呼びます。エレファントフットの原因は、材料が出てくるノズルと材料を乗せるベッドとの間が近すぎることです。
最初の層を印刷するときの温度が高すぎる場合や、造形物の重さで底部がつぶれる場合にもエレファントフットが生じます。造形物の底部が予定より大きくなると、他の部品との組み合わせができなくなるため注意が必要です。
糸引き

3Dプリンターのノズルから材料が溶けて漏れ出ると、部品の間にクモの巣状の細い糸が付着する「糸引き」が生じます。以下の状況では糸引きが発生しやすくなります。
- ノズルの温度設定が高すぎる
- リトラクション設定が適していない
- プリント速度が遅すぎる
材料が湿気を吸っていると、水分が可塑剤として機能し、材料の溶融粘度が低下するため、糸引きが起こりやすくなります。
プリントの停止・空回り
3Dプリンターで停止や空回りなどの失敗が起こる原因はさまざまです。動作が突然停止する場合は3Dプリンター本体の接続や印刷用のデータ、電源などに問題が発生しているケースが多く見られます。3Dプリンターが空回りする場合はノズルやデータ、フィラメント、エクストルーダーに問題が発生している可能性があります。
エラーが頻発する場合は、3Dプリンターのファームウェアの更新やソフトの再インストールも検討してみてください。3Dプリンターの定期的なメンテナンスやキャリブレーション、フィラメントの保管環境の見直しがトラブルの予防につながります。
光造形3Dプリンター特有の失敗と原因

光造形3Dプリンターは、レジンと呼ばれる液体樹脂に光を照射して層ごとに硬化させる方式を採用しています。独自の造形方法により、光造形3Dプリンターは他の3Dプリンター方式とは異なる以下の失敗パターンが生じます。
- レジンタンク内の固まり
- 造形物の表面での気泡発生
- 部分的なレジンの未硬化
光造形3Dプリンター特有の失敗は、レジンの状態や光の照射条件などが原因で起こります。
レジンタンク内の固まり
光造形3Dプリンターを使うと、以下の原因でレジンタンク内にレジンの固まりが生じます。
- 光漏れによる硬化
- 露光時間の過多
- レジンの劣化
- FEPフィルムの劣化や損傷
- ほこりやゴミなどの異物混入
- 印刷失敗時の破片の残留
- 清掃不足
レジンタンク内の固まりは印刷の失敗だけでなく、3Dプリンター本体やタンクの損傷や印刷品質の低下の原因にもなります。対策として、レジンをフィルターで濾すことで異物を除去し、トレイの清掃を徹底しましょう。
造形物の表面での気泡発生

光造形3Dプリンターを使用する際、レジンに空気が混入すると、造形物の表面に気泡が残る原因になります。レジンタンクへ注ぐときやかき混ぜるときに空気が入りやすく、混入したまま硬化すると表面不良が発生します。
レジンタンク底部のFEPフィルムに汚れや傷も気泡が発生する原因です。傷や汚れによってレジンの流れが妨げられ、気泡が発生しやすくなります。造形前にはレジンを加温機能付きのレジンミキサーで温めて、気泡を除去しましょう。
使用するレジンの種類とプリンターの設定、室温などの環境条件が合っていない場合も、気泡が発生する原因となります。低温環境ではレジンの粘度が高くなり、気泡が抜けにくくなるため注意が必要です。造形前にレベリングや温度管理を適切に行い、安定した出力環境を整えることで、気泡の発生を大幅に抑えられます。
部分的なレジンの未硬化
光造形3Dプリンターでは、以下の原因で造形物の一部が固まらない場合があります。
- 光の照射時間が短すぎる
- 光が当たっていない
- ランプが劣化している
- LCD/DLPスクリーンが劣化している
- サポート材が不足している
- 造形物の形状が複雑すぎる
- レジンが十分に混ざっていない
- 3Dプリンターの温度が低い
光造形3Dプリンターで部分的なレジンの未硬化を防ぐためには、光の強度や照射時間の調整が必要です。3Dプリントの品質を高めるためには、レジンの状態に加え、造形後の適切な洗浄や二次硬化などの改善も必要です。
3Dプリンターの失敗を防ぐための対策

3Dプリンターの失敗は印刷前の準備不足や材料の扱い方、印刷環境などが原因で起こります。3Dプリンターの失敗を防ぐための対策は以下のとおりです。
- スライサーソフトの設定見直し
- 各パラメータの適切なカスタマイズ
- 適切な材料の選定と保管
- プリント環境の最適化
スライサーソフトの設定見直し
スライサーソフトは、3Dデータを3Dプリンターで印刷するためのデータに変換するソフトです。層の厚さやノズルの温度、冷却ファンの設定などをスライサーソフトで調整しましょう。
層の厚さを薄くすると、造形物の精度や強度は向上しますが、3Dプリント時間が長くなります。目的に応じて、精度・強度・プリント時間のバランスを考えながら3Dデータを調整してください。スライサーソフトで冷却ファンの風の強さを適切に調整すると、3Dプリンティングの造形品質が向上します。
使う材料に合わせて3Dプリンターのノズルの温度を適切に調整すると、材料が焦げ付いたり、うまく溶けずに詰まったりする失敗を防げます。ただし、きれいな造形物を作るためには、3Dプリンターの温度設定や印刷速度などの設定も必要です。
各パラメータの適切なカスタマイズ

3Dプリンターの印刷速度の設定が速すぎると、造形物の形が崩れたり材料がうまく出なかったりする失敗につながります。最初の層を土台にしっかり定着させるために、3Dプリンターのベッド温度は高めに設定しましょう。3Dプリンターのベッド温度が低いと、造形物の剥がれや反り返りの原因になります。
3Dプリンターの種類や使う材料に合わせて各パラメータを調整すると、きれいな造形物を作れます。
適切な材料の選定と保管
フィラメントは熱溶解積層方式の3Dプリンターでよく使われる材料です。3Dプリンターのノズルの太さに合ったフィラメントを選びましょう。フィラメントと乾燥剤を密閉容器や専用の箱に入れて保管すると、湿気の吸収を抑えられます。
レジンは光造形方式の3Dプリンターでよく使われる材料です。レジンは光を通さない容器に入れて10~30℃の直射日光の当たらない場所で保管すると、光で固まることを防げます。材料の種類や状態が悪いと、3Dプリンターできれいに印刷できなかったり、途中で失敗したりする原因になります。
3Dプリンターで作りたい物の丈夫さや熱への強さ、柔らかさなどに合わせて材料の種類を選択してください。3Dプリンターメーカーがおすすめする材料や、評判の良いメーカーの材料を選ぶと安心です。開封した3Dプリンターの材料は適切に保管し、劣化する前に使い切りましょう。
定期的に使用期限を確認し、期限切れの3Dプリンターの材料は廃棄してください。
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プリント環境の最適化
造形物の仕上がりは温度や湿度、振動などに影響されるため、3Dプリンターを置く場所や周りの環境を整えることが大切です。部屋の温度は一定に保ち、エアコンや扇風機の風を3Dプリンターに直接当てないように注意してください。
揺れや傾きによる印刷の失敗を防ぐため、3Dプリンターは平らで安定した場所に置きましょう。3Dプリンターの周りを清潔に保つと、ほこりやゴミなどの混入を避けられます。印刷の途中で3Dプリンターの電源が落ちるのを防ぐために、安定した電源を確保しましょう。
3Dプリンターでの失敗を成功に変える方法

3Dプリンターでの失敗は、次の経験に活かすことが大切です。3Dプリンターでの失敗を成功に変える方法は以下のとおりです。
- 失敗談の共有や情報発信をする
- メンテナンスシートを作成する
- コミュニティを活用する
失敗談の共有や情報発信をする
3Dプリンターで失敗した原因や試した対策、結果などを整理して発信すれば、同じ失敗に悩む人の問題を解決できます。失敗談を共有して得た反応やアドバイスは、次回3Dプリンターを使用する際の参考にしましょう。
ブログやSNSなどで写真や動画を添えて情報発信をすると、3Dプリンターの失敗や解決策の内容がわかりやすく伝わります。他の人が公開している3Dプリンターの失敗談や解決策を見て、自分の知識を増やす方法もおすすめです。
メンテナンスシートを作成する

3Dプリンターの失敗をメンテナンスシートに記録することで、問題が再発したときに原因を特定しやすくなります。3Dプリンターのメンテナンスシートに記録すべき内容は以下のとおりです。
- プリント日時
- 使用した材料
- スライサーソフトの設定
- プリントの結果
- プリント失敗の原因・対策
- 3Dプリンターのメンテナンス履歴
3Dプリンターのメンテナンスシートは、パソコンの表計算ソフトや手書きなど、自分が管理しやすい方法でまとめましょう。
コミュニティを活用する
3Dプリンターで失敗したときにオンラインフォーラムやSNSなどのコミュニティに参加すると、以下のメリットがあります。
- 3Dプリンターのユーザーに質問や疑問点を直接相談できる
- 他の人の失敗談や成功例から3Dプリンターの知識を得られる
- 特定の機種やソフトの情報を得られる
- トラブル解決のヒントや3Dプリンターの便利な設定方法がわかる
- 3Dプリンターの最新情報や使い方のコツを学べる
- 3Dプリンターで作った物を見せてアドバイスを得られる
3Dプリンターのコミュニティで経験豊富なユーザーに相談すれば、1人で解決できなかった問題を解決できます。
まとめ

3Dプリンターを使うと造形物の剥がれや反り返り、ノズルの詰まりなどの失敗が起こることがあります。レジンタンク内の固まりや造形物の気泡の発生、部分的なレジンの未硬化などは、光造形3Dプリンターで生じやすい失敗です。3Dプリンターで失敗を防ぐためには、スライサーソフトの設定を見直すことや、材料を適切に管理することが効果的です。
メンテナンスシートに3Dプリンターで失敗した内容を記録すれば、問題が再発したときに原因を特定しやすくなります。3Dプリンターの失敗の原因を把握し、適切な対策を取りましょう。